シカたない話

この地方でよく耳にする会話

「シカひいだ・・・」
「オラもひいだごどある・・・」

北上山地南部に位置する五葉山(標高1,351m)は、釜石市、住田町、大船渡市にまたがる三陸沿岸の最高峰である。

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そこに生息するのが ホンシュウジカ ー
かつては五葉山が北限の生息地と言われていたが、現在その分布は岩手県内全域に広がっている。
このホンシュウジカを見かけることは 決して珍しくない。

夜遅くに山道を帰宅する人にとっては もはや日常茶飯事。

昼間でも民家の庭先に それはもう「気軽」に・・・

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ほらね。
他地域からお越しのみなさんは さながらサファリパーク気分を味わえるのだが 問題なのは・・・

道路への飛び出し!!

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その結果が…

「シカひいだ・・・」
「オラもひいだごどある・・・」

この会話である。

経験者は語る ー

〜大船渡市在住 鹿野さん(男性)の場合〜

鹿野さん
「あれは・・・秋頃だったべがな〜」

重々しく話し出す鹿野さん。
2010年の秋頃、三陸町越喜来の山道を車で走行中の出来事だったという。

スタッフ
「どんな道でしたか?」
鹿野さん
「カーブの続く山道だった。
軽自動車だったし、上りだったし、そんなにスピードも出してねがったんだけど」

スタッフ
「何時くらいのことでしょう?」
鹿野さん
「夜の7時頃だべがなー、真っ暗だったー」

対向車線のさらに奥の崖から来たと思われるシカが、走行車線側の山に向かって猛ダッシュで横断!

鹿野さん
「あれはオスだ。立派なツノの大人のシカだ。」

視界に入った時にはもう目の前で急ブレーキを踏むも間に合わずものすごい衝撃音とともに・・・フロントガラスが割れた!!

スタッフ
「そういう時に声って出るものでしょうか?」
鹿野さん
「出たね!!
うおぉぉぉおおおーーーーー!!!って!!」

当時の様子を思い出し 緊迫した表情で話す鹿野さん。
割れたフロントガラスの隙間を頼りにそのまま帰宅したのだという。

スタッフ
「ところで、そのシカは?」
鹿野
「足引きずって逃げだ!」

なんという強靭な肉体!

    『シカをひいてしまったことがありますか?』
    という質問に対して ー

    「ぶつかっただけ」
    「シカは元気に逃げた」

という回答が非常に多いのである。

最後に、そのシカに何か言いたいことがあるか訪ねてみた。

鹿野
「車を直すのに10万かがった。 10万で買っだ車なのに!」

話し疲れたのか はたまたイヤな記憶を呼び起こさせてしまったのか…静かにグラスを傾ける鹿野さんであった。


今回お話を伺ったのは大船渡市のとある居酒屋。
店内にいたお客さん20名に同じ質問をしてみたところ ー

実際にシカにぶつかったことがある人 3名
話を聞いたことがある人 5名

という調査結果となった。

もし鹿をひいてしまったら・・・
警察? 市役所? 保健所?
迷った時はコチラ↓
道路緊急ダイヤル「#9910」

ひいてしまったショックから立ち直れない!
そんな人は

    • 塩をまく (サビます!必ず洗い流しましょう!)
    • お祓いをしてもらう

そして何より・・・「安全運転をこころがけること」が一番の供養になるのだそうです。

そんなシカたないお話。
三陸の夜道はくれぐれもお気をつけて。

(SANFES.スタッフ )