2014年のテーマ

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数々の郷土芸能から感じたい力



フェスティバルの目的

  • 郷土芸能の宝庫である東北沿岸部・三陸地域の魅力を、日本全国そして世界に発信すること
  • 芸術文化による国際交流の柱として、郷土芸能を位置づけること
  • 三陸地域沿岸部(東日本大震災/津波の甚大な被害があった地域)の野外で開催し、国内外の人々が震災を考え続けるきっかけとなるようにすること
  • 海外、特に東アジアを中心に芸能を招聘し、東北地方の芸能と海外の芸能が交流し、また互いに刺激し合う場とする
    同時に、東北の郷土芸能の団体同士、および地域間の交流が生まれる場とすること
  • フェスティバルの開催と並行して、「習いに行くぜ!東北へ!!」を行い、全国および海外から東北の芸能や文化を体験する機会を設け、後継者や新たな観光、雇用が生まれることを目指す
    将来、郷土芸能の魅力に多くの人が触れ、そこから新しい芸術や文化が生まれることを目指すこと

開催への経緯

JCDNでは、震災2ヵ月後から「からだをほぐせば、心もほぐれる」として、被災地にアーティストを派遣し、被災された方の身体ほぐしを中心に、ダンスアーティストの力を復興の一助になるべく活動をしてきました。並行して、同年「踊りに行くぜ!!」II(セカンド)をせんだいメディアテークにて仙台の仲間たちと開催し、翌年2012年には、文部科学省「復興教育支援事業」にて気仙沼・野田村等の小中学校10校を訪れるなど、様々な形で、ダンスの力をこの震災復興において活かすことを実践し、そして模索してきました。

震災から2年が経過したころから、それまで行ってきた被災者が受け身となる形ではなくて、被災者が主体となって、全国のアーティストが受け手になり、東北の文化を繋いでいくことはできないだろうか、と考えるようになりました。東北は郷土芸能の宝庫です。岩手、宮城、福島の3県だけで、2000以上の郷土芸能の団体が存在していると言われています。その郷土芸能を、外からのアーティストや一般の人々が“習う”ことで、復興に向けて共に進んでいくことが出来ないだろうか、という思いで、「習いに行くぜ!東北へ!!」というプロジェクトを、2013年8月より開始しました。

「習いに行くぜ!東北へ!!」第一弾は、仙台の河北新報社グループが行う支援事業「やりましょう盆踊り」の踊り手ボランティアとして、6地域の盆踊りに全国のダンスアーティストと共に参加しました。被災された方々と一緒に身体を動かすことによって、支援する、支援されるという関係性ではない、同じ人間として、共に何かを創っていくことの可能性を強く確信しました。

第二弾は、文化庁「文化芸術の海外発信拠点形成事業」アーティスト・イン・レジデンス事業(復興支援枠)の支援を受け、英国のコミュニティダンスの牽引者であるセシリア・マクファーレン女史を2013年10月18日から11月18日まで招き、岩手県大船渡市越喜来(おきらい)、大槌町・住田町・末崎町・宮城県気仙沼市にて、様々な郷土芸能を習うとともに、セシリアによる、コミュニティダンスのワークショップを行いました。

JCDNではこれまで、年齢や経験を問わない「すべての人にダンスを」というコミュニティダンスの概念を国内で普及活動に力を注いでいます。その中で、子供から大人まで幅広い世代の人々が引き継ぐ東北の郷土芸能に出会い、日本の郷土芸能はコミュニティダンスの原点であると感じ、コミュニティダンスの先進国イギリスからセシリアさんを招き、東北の郷土芸能と交流するプログラムを企画しました。

これらの活動の中で、大船渡市越喜来(おきらい)の浦浜念仏剣舞と獅子躍の代表をされている古水力氏と出会い、話す中で、東北の地域にとって郷土芸能が様々な世代の人々を繋ぐ要であり、精神的な支えとなっていることを痛感しました。しかし近年若者が少なくなってきたこと、震災によって後継者が減少していること。復興において郷土芸能がいかに大切か、外から人が郷土芸能を習いに来てくれることがいかに励みになるか、などのお話を伺う中で、フェスティバルの構想が生まれてきました。特に東北の郷土芸能に通じる海外の仮面舞踊などが来ることによって、地域にとって大きな刺激になる、ということを発見しました。

被災地の復興を考える上で、郷土芸能が被災された方々の大きな精神的支えになっています。あまりにも多くのものを失った被災地において、政治や経済ももちろん必要ですが、人々が人間らしく生きること、郷土固有の文化を通じて誇りを取り戻すことは、すべてのことを支えるために不可欠なことだと考えています。

国際フェスティバルという形で、三陸というエリア内から世界の中の三陸という位置づけで郷土芸能を発信することは、各地域で大切に受け継がれてきた郷土芸能が日本全国そして海外に認められることに繋がり、そのことは人々に地域に対する愛着や誇りを取り戻し、生きる力を生み出す大きな原動力になることと信じています。

震災を経て、未来に向けて生きていこうとする東北の人々の強さを世界に発信するために、この「ヒューマン・セレブレーション―三陸国際芸術祭」を企画しました。文化芸術や芸能が、人々の生きる力を祝福し、復興していくための大きな励みになることを目指します。

本フェスティバルと並行して「習いに行くぜ!東北へ!!」も実施します。これまで日本のコンテンポラリーダンスをはじめ現代芸術は欧米の影響を強く受けてきました。このフェスティバルをきっかけにアーティストが日本のオリジナルな身体表現である郷土芸能に触れることによって、日本でしか生み出すことの出来ない新しい作品・ムーブメントが生まれることを期待します。文化芸術による復興のひとつの大きなモデルケースを創りたいと考えています。
皆様のご支援、ご協力を何卒よろしくお願い致します。

2014年6月16日
NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク
代表 佐東範一

プログラムディレクター
    佐東範一(JCDN)
プログラムディレクションチーム
    小岩秀太郎((公社)全日本郷土芸能協会)
    古水力(大船渡市郷土芸能協会副会長)
    前川十之朗(みんなのしるし合同会社)
    千田優太(仙台「ダンス幼稚園実行委員会」「ARCT」)
    生島翔(ダンサー・俳優)
    北本麻理(JCDN)