ABOUT概要

三陸国際芸術祭

自然の造形美であるリアス式海岸を誇る三陸沿岸地域。ここは、数多くの郷土芸能の団体が存在する、世界でも類を見ない芸能の宝庫です。

東日本大震災後、様々な復興支援プロジェクトが行われました。その中で、NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(以下JCDN)代表 佐東範一が、被災地を訪問し、合同会社みんなのしるし代表前川十之朗と共に、東北の郷土芸能や文化を習いに行く「習いに行くぜ!東北へ」というプロジェクトをスタートさせました。踊りに「行く」のではなく、「習い」に行くというこのプロジェクトは、地域の芸能団体にとっても新たな交流の契機となり、習いに行くアーティストも同様に新しい創造の機会となりました。こうした国内外のアーティストの声と、三陸の郷土芸能の多様性と奥深さに三陸沿岸における新たな復興の可能性を見出し、2014年に三陸国際芸術祭がスタートしました。

当初はJCDN主催で4市町村9日間からスタートした芸術祭も、2018年度には、三陸鉄道株式会社社長の中村一郎氏(現|石川 義晃 氏) が委員長を務め、三陸沿岸地域の15市町村および民間団体が連携する「三陸国際芸術推進委員会」を中心に行っております。

幾世代を経て地域に根付き、今も脈々と受け継がれている芸能。本芸術祭は、その魅力を世界に伝え、三陸の郷土芸能と現代芸術、世界を繋ぎ、郷土芸能の魅力を活かした創造的な地域づくりと復興を目指しています。

三陸国際芸術祭のプログラム

本芸術祭のプログラムは、三陸の郷土芸能と世界の芸能を繋ぎ、そこへ現代アーティストが参加し、相互交流することを特徴としています。参加アーティストと芸能団体にとって新しい発見の場、創造の機会となることを期待してプログラムを制作しています。

観客へ向けたプログラムとしては大きく「鑑賞型」と「体験型」に分類されます。鑑賞型のプログラムは、地域の劇場や歴史的文化施設の他、観光と連動した事業として、景勝地等の野外、三陸鉄道の列車内での上演も行いました。
体験型のプログラムとしては、本芸術祭の契機ともなった「習う」という点に主軸を置いた企画を実施しております。芸能は、神楽、鹿踊り、剣舞など多岐にわたり、一般の方のみならず招へいした海外芸能団体や現代アーティストも参加します。さらに、訪れた海外芸能団体(主にアジア)もその地で自分たちの芸能を教えることにより、習いあう交流が行われます。この三陸とアジアの芸能交流から派生し、三陸とアジアの芸能団体による国際共同制作作品の上演も行われました。

2020年はコロナ禍の影響を受け、芸術祭は開催されませんでしたが、国内外のアーティストを対象としたオンライン芸能体験事業を開催し、その事業を発展させ、2021年にはTOKYO2020 NIPPONフェスティバルの共催プログラムとして 三陸芸能団体とインドネシア、カンボジアの芸能団体による作品制作を実施しました。

三陸国際芸術推進委員会

三陸地域には、数多くの郷土芸能が伝承され、地域コミュニティを形成する役割の一端を担ってきました。三陸国際芸術推進委員会は、郷土芸能の継承と発展、郷土芸能を主軸とした文化芸術活動・産業の推進を三陸広域で図ることを目的とし、JCDNに加え、三陸沿岸市町村と民間団体が連携し、2018年11月に設立されました。

本芸術祭の舞台となる三陸沿岸は、最短距離でも約250㎞以上、14市町村の総面積は約5,600㎢に及びます。本委員会では、開催地となる各市町村と 専門的集団としての民間団体の代表者等によって構成され、広域での開催を実現しています。

構成団体

推進委員

下記市町村長および民間団体代表を推進委員として構成しています。
八戸市、階上町、洋野町、久慈市、野田村、普代村、田野畑村、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、住田町、岩手県(県北広域振興局、沿岸広域振興局)、三陸鉄道株式会社、公益社団法人全日本郷土芸能協会、特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター、特定非営利法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

委員長

石川 義晃(三陸鉄道株式会社 代表取締役社長)

副委員長

熊谷 雄一(八戸市長)、渕上 清(大船渡市長)

運営委員

上記、市町村長・民間団体代表から任命された公共団体・民間団体の運営委員、および以下の民間団体代表により構成されます。
みんなのしるし合同会社、東北文化財映像研究所、特定非営利活動法人震災リゲイン、合同会社imajimu、釜石市民ホールTETTO

推進事業

三陸国際芸術祭では 「実行委員会」ではなく、三陸での包括的な文化芸術による創造的な復興を目指す「推進委員会」として組織を立ち上げました。「東日本大震災で被災した三陸地域の 郷土芸能・文化芸術の魅力を生かした創造的な復興を目指すこと、また文化産業・観光などとも連携し、交流人口並びに定住人口の促進を行うこと。」等を目的とし、本芸術祭をその「企画開発事業」の一つとして位置付けています。
芸術祭で取り組まれる事業は一つのモデル事業として実施し、地域での持続可能な取り組みとして展開していく役割を持っています。また、推進委員会の事業として「企画開発事業」に加え、多言語化を含む三陸の芸能や文化芸術を発信する「情報発信事業」と、芸術祭等で開発されたプログラムを持続可能なものへと発展させる「効果促進事業」等があります。
「企画開発事業」では、アーティストが三陸に滞在し、三陸の芸能を習いながら、自身の作品を制作するアーティスト・イン・レジデンス事業(三陸芸能短期留学)を実施しています。「情報発信事業」としては、数百にものぼる三陸の郷土芸能の団体情報や催事の情報を収集し、多言語発信する芸能マッピング事業などを行っています。