井上信太さんコラムシリーズ
③ Bird house 100 Project

5月6日、7日。
三陸国際芸術祭の招聘アーティスト 井上信太さんによる
「Bird house 100 Project」ワークショップが二日間にわたり開催されました。

井上信太ワークショップ写真

この日。
震災から6年の歳月を経て、
新しく生まれたまち「キャッセン大船渡」。
色とりどりの不思議な鳥の巣箱たちが、新しいまちのはじまりに楽しく彩りを添えました。

ワークショップの会場は、キャッセン大船渡のコミュニティスペース。
海からの風が気持ちよく入ってきます。
ゴールデンウィークということもあり、新しいまちを見に来るたくさんの人たちであたりは賑わいました。

ワークショップ会場の真ん中には、信太さんが「宝物」と呼ぶ、
流木や石、シーグラスなどがたくさん置かれています。
ここから好きなものを選んで巣箱にデコレーションをします。
会場の四方を囲むように、木工屋さん、ペンキ屋さん、
グルーガンおじさん、毛糸やポスカがずらりと並んだセルフコーナーなどが配置され、スタッフが今か今かとスタンバイしています。

信太先生の楽しいオリエンテーションがあり、さぁ、ワークショップがはじまります!

まずはペンキ屋さんで好きな色を選んで巣箱に色をつけていきます。
アイスクリーム屋さんのショーケースを覗き込む時のようにみんな目がキラキラしています。

それからデコレーションがはじまります。
流木でブランコを作ってみたり、松ぼっくりの煙突があったり、
貝や石で屋根を飾ったり、
みるみるうちに「不思議な巣箱」が生まれていきます。
そしてどれもが「大船渡でしかできない巣箱」になっていきました。

いろんな色を重ね塗りする子、
不思議な模様を描く子、モネのような筆使いだったり、
子供たちの自由で何者にもとらわれない色彩感覚には、
このまちの明るい未来が宿っているようです。

付き添いで来ているお父さん、お母さんたちも
いつの間にか夢中になって子供たちと一緒に巣箱作りを楽しんでいたのがとても印象的でした。
ものづくりを通してお互いの感覚を知り、大切な時間を共有しているのですね。

「色彩は光の行為」というある芸術家の言葉があります。
まさに、子供たちの感性の光が照らす、素敵な作品の数々が出来上がりました。
そして、キャッセン大船渡の千年広場には、あったかくて賑やかな空気が満ち溢れるのでした。

100基の鳥の巣箱は、翌日、大船渡駅前やキャッセン大船渡に取り付けられました。
工事中の仮囲いの壁や、真新しいキャッセンの空間が色づき、美しい初夏の大船渡のはじまりを告げるようでした。

まちを彩るー
この物語は 8月の三陸国際芸術際へと続きます。

どうぞお楽しみに。

これまでのコラム

井上信太さんコラムシリーズ ② Bird house 100 Project

美術家 井上信太さんを招き、
ゴールデンウィークに行われたワークショップ その1