井上信太さんコラムシリーズ
① Wall and Art Project

2017年、三陸国際芸術祭がはじまりました。
8月の本祭に向けて、三陸の郷土芸能と
アジアの民族芸能のコラボレーションの準備も着々と進行中。

それに先立って、現代美術の招へいアーティスト
井上信太さんによる「Wall and Art Project」の
ワークショップが、3月18日〜20日に開催されました。

井上信太ワークショップ写真

この4月。
津波で甚大な被害を被った大船渡駅前の
本格的な「まちびらき」がいよいよ始まりました。

今まさに建設中のあたらしいまちに、
色とりどりのマグネットアートが、虹のように彩りを添えました。

マグネットアートー。
磁石の付いたビニール板に思い思いに色を付け
それを自由な形に切り取り、ペタペタ貼るだけ。

井上信太先生のナビゲートでワークショップははじまりました。

3月17日、盛町の介護老人福祉施設「蔵ハウス」での
プレワークショップには、「FMねまらいん」の告知を聞いた
別の施設の方や、目の不自由な方たちも集まり、
なんと総勢20名以上の本格的なワークショップとなりました。

約7メートルのマグネットキャンパスに好きな絵がどんどん描かれていきます。
それから、マグネットを不思議な形に切って、ポスカで描く、
約2時間のそれはそれは濃〜いセッションでした。
106歳のおばあちゃんが描く猫の絵には信太先生も深く感動!

猫の目にさらに猫を描く
106歳のおばあちゃん

3月18日、19日のワークショップは
盛町のショッピングセンター「サンリア」で行われました。
たくさん集まった参加者の方たち。
絵の具で絵を描く、ハサミで絵を切る、
裁断された絵を組み合わせて絵を作る。
絵を見ながら物語を作る、歌う、踊る。

誰のためでもない、美を探す空間がそこに自然に生まれる。

それはさながら、美しくてあったかい北欧の短編映画を見るような
ワークショップとなりました。
さぁ、いよいよ明日はこの宝物たちを持って
大船渡のまちに出ます!

3月20日春分の日。

「まちびらき」を控えた大船渡駅前は今まさに建設中。
白いキャンバスのような囲い壁があります。
美術家・井上信太さんと大船渡のまちの人々、
一緒にマグネットアートで、新・未来地図を作りました。

北は北海道、南は沖縄まで。
ここ大船渡はまるで、世界の中心です。
三陸鉄道やBRT、45号線に五葉山、はたまた一本松や気仙沼など、
見応えのある地図が出来ました。
参加してくださった市民の方々の、
笑い声が響き、にわかに辺りがあったかい空気で包まれました。
今までずっと、工事現場で寂しかったまち。
そこに新しい豊かな風景が、生まれた瞬間でした。